トライオートETF ナスダック100トリプル(TQQQ) バックテストによる最適な利確幅【セミリタイアを踏まえて】

  • 過去11年間分をバックテスト。
  • 当時の価格に補正している。
  • 現物のTQQQの方が利益率が良い。
  • セミリタイアでの最適な利確幅は、8.5$。
    • 利確幅は4.0$・4.5$・5.0$・8.5$・9.0$・9.5$をミックスするのがおすすめ
  • 利確幅10$以上は現物のレバレッジETFの購入を検討するのが望ましい。
  • 約1,600万円あればトライオートETFでセミリタイア生活を過ごせる期待値が高い。
トライオートETF

BBです。

この記事は、
トライオートETFで、ナスダック100トリプル(TQQQ)の最適な利確幅を知りたい人
向けに解説しています。

「長期的な運用」と「当時の価格」を考慮した最適な利確幅をバックテストにより分析しました。
結果が出たとしても、利確幅は永遠のテーマだと思っています。
1つの考え方として参考となれば幸いです。

ナスダック100トリプル(TQQQ)とは

ナスダック100トリプル(TQQQ)の基礎情報です。
分かる方は読み飛ばして下さい。

ナスダック100トリプルとは、
ナスダック100指数に連動し3倍の値動きをするレバレッジ型のETFです。
正式名称は、「プロシェアーズウルトラプロQQQ」と言います。

ウルトラプロというのは、プロ投資家向きの商品しかつけられない呼称です。
要するに、3倍レバレッジがかかったプロ仕様の金融商品です。

ナスダック100トリプルの上位10銘柄

ティッカー名称ファンド割合(%)
AAPLアップル7.69
MSFTマイクロソフト6.43
AMZNアマゾン・ドットコム5.82
TSLAテスラ3.22
GOOGアルファベット2.44
FBフェイスブック2.26
GOOGLアルファベット2.21
NVDAエヌディア1.95
PYPLペイパル・フォールディングス1.81
INTCインテル1.34
2021年2月時点 Bloomberg

ナスダック100トリプルは、
ファンド割合が異なるもののナスダック100と同じ構成銘柄となっております。

GAFAMの割合が低いのは、時価総額が低い銘柄の割合を上げて、
よりアクティブな値動きを提供しているからだと言われています。

ですので、ナスダック100トリプルは、
時価総額低い銘柄のファンド割合が変わることがよくあります。
ナスダック100トリプルは、GAFAMの動きには左右されるが、
連動元のナスダックほどではないということです。
それでも3倍動きますが・・。

ナスダック100とナスダック100トリプルの比較

ナスダック100とナスダック100トリプルの比較

チャートのオレンジナスダック100トリプルブルーナスダック100です。
ナスダック100が横ばいにみえるほど、ナスダック100トリプルの上昇率と下落率は凄まじいです。
これがレバレッジ3倍の威力ですね。

バックテストの仕様

使用データ

TQQQ年間データをエクセルに組み込み、シミュレーターを作成しました。
使用データは以下の通り。

使用データ

分割(Split)について

レバレッジETFは、取引がしやすいように1口を100$(約1万円)以下になるように価格設定されています。
値段が上がりすぎたものは分割、下がりすぎたものは併合(分割の逆)をすることで価格を調整しています。

ナスダック100トリプルは、過去に6回分割しています。
価格基準を統一して傾向を図るため、現在の価格に比率を乗じて修正します。
つまり、当時の価格に補正してバックテストを行いました。
公式のシミュレーターは分割を考慮せずにシュミレートしてしまうので、実体に合った利確幅が検証できません。
最適な利確幅を知るためには、必要な作業ですね。

分割日比率
2011年2月25日2:1
2012年5月11日 2:1
2014年1月24日 2:1
2017年1月12日 2:1
2018年5月24日3:1
2021年1月21日 2:1
TQQQ Split History より

公式のシミュレーターは分割を考慮せずにシュミレートしてしまうので、実体に合った利確幅が検証できません。
最適な利確幅を知るためには、必要な作業ですね。

約定の定義

  • 0.5$刻みの指値を想定
    1. 2.0$,2.5$,3.0$・・・・30$までを調査
  • 1日のごとの安値から高値の間に指値が含まれていたら約定
    1. 例)指値:100$  安値:98$~高値:105$ の場合は 約定1回
    2. 1日に2回以上往復しても約定回数は1回とする。
  • 翌日以降に利確幅以上の値幅があれば約定
    1. 利確幅以上の利益は考慮しています。
  • 約定するため、どこまででもレート追いかけることを想定
    1. 資金は無限としました。
    2. 必要資金については後述してます。

精度について

「自作したシュミレーター」と「トライオートETF(公式)のシュミレーション機能」と比較した結果誤差約1%以内でした。

母集団の8割以上のデータを使用しているため、確率論でいうと許容誤差が1%以下となります。
つまり、統計的に優位性のある信頼できる結果ということです。

その他

  • スプレッド及び金利は無視
  • 当時のドル円レートを乗じて日本円で利益を算出
  • ドル円は当時の終値
  • ロング一択で、ショートは考慮しない。

結果

利益の最大化

11年間分の利確幅ごとの累積利益をグラフにまとめました。

美しいほどに右肩上がりです。
単純に利確幅が広いほど、累積利益が高くなっていきます。
線形近似の回帰モデルR2は0.95以上のため、利確幅と利益は極めて高い正の相関を持っていると考えられます。利確幅30$以上となっても、累積利益は伸びていくでしょう。
つまり、利確せずにずっと建玉を持ち続けた方が良いということになります・・・。

利確幅($) 累積利益(円) 利確回数(回)
$2.0 ¥4,020,736 12,918
$2.5 ¥4,132,145 11,491
$3.0 ¥4,199,579 10,282
$3.5 ¥4,239,167 9,269
$4.0 ¥4,252,331 8,391
$4.5 ¥4,252,547 7,646
$5.0 ¥4,250,893 7,017
$5.5 ¥4,253,181 6,487
$6.0 ¥4,255,092 6,031
$6.5 ¥4,254,409 5,631
$7.0 ¥4,254,513 5,283
$7.5 ¥4,256,731 4,977
$8.0 ¥4,266,717 4,713
$8.5 ¥4,280,101 4,480
$9.0 ¥4,297,071 4,274
$9.5 ¥4,312,138 4,084
$10.0 ¥4,329,560 3,915
$10.5 ¥4,346,754 3,761
$11.0 ¥4,356,401 3,613
$11.5 ¥4,361,120 3,473
$12.0 ¥4,374,126 3,350
$12.5 ¥4,389,335 3,237
$13.0 ¥4,402,871 3,132
$13.5 ¥4,409,831 3,029
$14.0 ¥4,420,304 2,935
$14.5 ¥4,435,523 2,850
$15.0 ¥4,449,657 2,770
$15.5 ¥4,464,012 2,695
$16.0 ¥4,480,980 2,626
$16.5 ¥4,498,917 2,561
$17.0 ¥4,520,160 2,501
$17.5 ¥4,547,485 2,448
$18.0 ¥4,569,958 2,395
$18.5 ¥4,591,945 2,344
$19.0 ¥4,613,441 2,295
$19.5 ¥4,634,577 2,248
$20.0 ¥4,658,221 2,204
$20.5 ¥4,679,601 2,161
$21.0 ¥4,698,078 2,119
$21.5 ¥4,715,511 2,078
$22.0 ¥4,731,846 2,038
$22.5 ¥4,746,936 1,999
$23.0 ¥4,758,267 1,960
$23.5 ¥4,773,479 1,924
$24.0 ¥4,787,143 1,889
$24.5 ¥4,798,221 1,855
$25.0 ¥4,814,122 1,824
$25.5 ¥4,835,953 1,797
$26.0 ¥4,857,409 1,771
$26.5 ¥4,881,619 1,747
$27.0 ¥4,915,070 1,727
$27.5 ¥4,952,023 1,709
$28.0 ¥4,987,190 1,691
$28.5 ¥5,023,443 1,674
$29.0 ¥5,055,075 1,656
$29.5 ¥5,087,519 1,639
$30.0 ¥5,118,225 1,622

以上を踏まえると・・

結論

利益の最大化を考えるのであれば・・
「トライオートETFでTQQQ」を売買するよりも、「現物TQQQ」を購入しガチホした方が良い。

という、トライオートETFをする必要がないという結果となりました。

もちろんトライオートETFには下記側面があるため、一概には優劣を判断できない考えもあると思います。

  • 現物のTQQQは国内で購入できない。
    1. →TECL(テク3倍)やSPXL(S&P500 3倍)で同様のパフォーマンスが期待できる。
  • CFDなら複利で運用できる。
    1. →複利込みでも現物の方が優位。
  • CFDならショートができる。
    1. →右肩上がりのナスダックでは、ショートはリスクが高い。

また、公式の方でもリスク・リターンを含めて解説してくれています。

ここまでは、
現物TQQQの方が利確しないからパフォーマンスが良いことが分かりました。
では、
生活費が毎月必要なセミリタイアを基準に考えたらどうでしょうか。


セミリタイア時の最適な利確幅

ここで、
11年間分の利確幅ごとの利確回数をグラフにまとめました。

当たり前ですが、
利確幅が大きいほど、利確回数が少ないことが分かります。
対数近似の回帰モデルR2は0.95以上でした。
こちらもかなり相関していますね。

1ヶ月及び利確幅ごとに利確回数を調べていくと、利確回数が0回の月がでてくることが分かりました。
(例:利確幅15$だと11年間で利益0円の月が23回ありました)
つまり、利確幅が長すぎて利確するまで1ヶ月以上必要となっているということです。

2021年にトライオートETFをはじめた方は信じられないかもしれませんが、
3ヶ月以上ずっと下落するようなトレンドは、数年に1度やってきます。
利益が0円だとするとコンスタントに収益が必要なセミリタイア生活には、厳しすぎます。
なので、利確幅と利確回数はバランスを取る必要があります。

利確幅ランキング

利益と利確回数のバランスが良さそうな3.5~15$をグラフ化してみました。
累積利益が、4~7.5$までほぼ横ばいで、8$あたりから上昇していることが分かります。
利益0円の月(オレンジ線)は、9.5$から急上昇しています。
ここらへん(点線)が累積利益の変化点ですね。

「1ヶ月の利益の中央値」と「1ヶ月の利益回数」から利益の期待値が最大となる利確幅を算出しました。

その結果、1ヶ月で利益が最大化できる利確幅は、「8.5$」ということが分かりました。
「8.5~9.5$」と「4.0~5.0$」に1~6位が固まっているので、組み合わせて使うとセミリタイアでの生活費が安定しそうです。

利確幅($)1ヶ月の利益の期待値(円)期待値の評価
3.5 17,931
4.0 18,5375位
4.5 18,6953位
5.0 18,4576位
5.5 17,415
6.0 17,414
6.5 17,787
7.017,881
7.517,918
8.017,757
8.518,8391位
9.018,8292位
9.518,5534位
10.017,991
10.517,898
11.017,123
11.517,296
12.017,473
12.517,721
13.018,0787位
13.517,385
14.017,216
14.517,095
15.016,910

上記からは、
10$以上の利確幅を選択する場合は、現物のレバレッジETFの購入が選択肢に入ってくるとも考察できますね。

セミリタイアの必要資金

最大建玉数量

どこまででも追いかける(トラップを仕掛ける)設定で、資金が無限の想定だと運用するのにイメージが沸かないと思います。
過去11年間で、どんな時もトラップを仕掛け、ロスカットしない必要な資金を算出してみました。
どの価格帯でも保有する建玉数は1口とします。

過去11年間で最も建玉を保有したのは、コロナショックです。
下落幅は、116.4$→32.28$まで約84$下落しました。
期間は、2020年2月19日~2020年3月23日なので約1ヶ月間です。
最大建玉数量は、168口でした。

コロナショック時のチャート

ロスカットレートを30$、1日あたりの下落率を20%、ドル円レートを115円とすると
必要資金は、1,006,120円となり、ほぼ100万円となりました。
ちなみにTQQQの過去最低値は、30.32$のため、ロスカットレートはぎりぎりクリアできています。

セミリタイアできる必要資金

生活費については、以前のアンケート結果と民間の家計調査の結果から、
ほとんどの世帯がカバーできる30万円/月としました。

利確幅「4.0$・4.5$・5.0$・8.5$・9.0$・9.5$」を併用させ、
生活費を安定させることを考えると

利確幅($)利益の期待値(円)期待値の評価ビルダー数 ビルダー数×
利益の期待値(円)
必要資金(円)
4.0 18,5375位237,074 2,012,240
4.5 18,6953位356,085 3,018,360
5.0 18,4576位236,914 2,012,240
8.518,8391位356,517 3,018,360
9.018,8292位356,487 3,018,360
9.518,5534位355,659 3,018,360
16(生活費)298,736円16,097,920

約1,600万円あればトライオートETFで、セミリタイア生活を行える期待値が高いことが分かりました。

余談・・

余談ですが・・
トライオートETFロスカットレート0$で運用するのであれば、現物のレバレッジETFを購入した方が、パフォーマンスが良いです。
2021年のTQQQのパフォーマンスは、82.98%。
トライオートETFの運用で、これを上回る方は極少数います。
しかし、どの方もロスカットレート0$で運用されておらず、ロスカットレートを上げて運用しています(BB調べ)。
ロスカットレート0$で運用する方は、一度現物の購入を視野にいれても良いと思います。
キャッシュ・フロー等を鑑みると、トライオートETFが有利なため、あくまで余談です。

2021年レバレッジETFトップリターンランキング

以上、参考となれば幸いです。

トライオートETF

コメント

タイトルとURLをコピーしました